パネルディスカッション
「福岡市×キャッシュレス導入事業者」

パネラー
  • 博多っ子純情屋台 喜柳 車長 迎 敬之 氏
  • 株式会社新生堂薬局 ドラッグストア事業部 部長 馬場 大輔 氏
  • 福岡交通株式会社 代表取締役社長 野上 正嗣 氏
モデレーター
  • 福岡市 経済観光文化局 総務・中小企業部長 今村 寛 氏

福岡市はキャッシュレスの実証実験を実施。キャッシュレスによって業務効率化。

今村)昨年度、福岡市は中小企業の生産性の向上を図るとともに、消費者の利便性を高めるために、キャッシュレスの実証実験を行った。AI・IoTなどの先端技術を活用して社会課題の解決を図る「福岡市実証実験フルサポート事業」という公募の仕組みによって、全国からキャッシュレスプロジェクトを募集した。そして、6月に優秀なプロジェクトとして、8社のプロジェクトを採択し、福岡市の公共施設では、博物館や動植物園などでスタートさせ、また、民間施設では、屋台や商店街、ドラッグストアやタクシーなど市内の約900箇所で、QRコード決済によるキャッシュレスの実証実験を行った。キャッシュレスを導入して、実際のところ、業務の効率化につながったのか。

迎)会計に要する時間が1回あたり1分は短縮している。お客さんがスマートフォンで決済すると自分の携帯が鳴る仕組みなのですぐ分かる。調理の手を止める必要がないので、非常に楽で便利になった。

馬場)弊社の福岡市内の香椎駅前店では、完全キャッシュレス店舗として実証実験を行った結果、通常の店舗では、お札や小銭などレジの準備から会計時のお金のやりとり、レジ締め時の現金の照合まで含め、これまでトータル90分かかっていたのが30分で済み、キャッシュレスによって60分の作業時間が短縮された。

野上)タクシーの乗務員からは、キャッシュレスだと金銭の授受がなく、決済の操作もお客様がされるので、会計がかなり楽になったと聞いている。また、お客様もQRコードを読み取って決済するだけなので、決済も簡単で、スムーズに降りることができるということで、乗務員もお客様にも好評で、導入したメリットはとても大きい。

キャッシュレスは、特に若年層など新規顧客の開拓などにも有効。

今村)キャッシュレスによって、売り上げは変わったのか、また、客層に変化はあったのか。

迎)昨年度、屋台向けに行ったLINEPayのキャッシュバックキャンペーンによって、新しいお客さんの来店があっただけでなく、2か月後には、キャッシュバックを受けたお客さんが、再来店してリピーターとなるなどの効果もあり新規のお客さんの獲得につながった。特に若い人の来店が増えた。昨年9月は月30組の来店だったのが、先月の5月には月100組の来店となっており、キャッシュレスの効果は大きい。また、キャッシュバックを受けた常連さんからビールをおごられることも増えるなどにより、客単価も上がった。

馬場)ドラッグストアは競合が多い上、人口減・高齢化によって来客者数の維持が大変である。これまでは、チラシの作成や商品の値下げなどの対応を取ってきたが、PayPayなどQRコード決済によって、これまでとは違った層のお客様、特に若いお客様が来店するようになった。また、クレジットカードやQRコード決済などキャッシュレスは、現金支払と比べて、月間で来店頻度は2倍で、1回の購入金額の単価は4倍である。特に女性は、高額なお化粧品などの決済手段はクレジットカードなどキャッシュレスが主である。

野上)クレジットカードや電子マネーなどキャッシュレスを他社よりも先行して導入していたおかげで、福岡空港や博多駅などの待機場でお客様が弊社のタクシーを選んで乗車いただいている。予想していなかったが、お客様の囲い込みができている。その結果、市内のタクシー会社が苦戦している中、弊社は健闘できている。

特に高齢者へは分かりやすい説明・周知が必要。

今村)皆さんからは、キャッシュレスのメリットとして、「業務が効率化された。会計がスムーズになった」、また、「若年層を中心に新規顧客の獲得につながった。客単価が上がった」、「お客さんも決済がスムーズで好評」など良いことづくしで、当初想定していたキャッシュレスの効果が実証されたのではないかと思っている。一方で、キャッシュレス導入の課題や、期待とのギャップなどがあればお願いしたい。

迎)中国人観光客の来客がもっと増えるかと期待していた。日本人のお客さんのキャッシュレス利用者は急増している一方で、中国人観光客は少しずつ増えている状況である。屋台でAlipayが使えるということがまだまだ中国人に知られていない。

馬場)お店に来られた高齢者はお持ちのnimocaやSUGOCA、はやかけんなど交通系ICカードが買い物で使えることを知らない。説明すると納得して使っていただける。特に高齢者に対してはキャッシュレスについて分かりやすい説明、周知が必要。

野上)キャッシュレスによって、乗務員もお客様も楽になって、特に課題はない。乗務員の笑い話だが、今まで現金だとでお釣りをチップとしてもらえていたのもがキャッシュレスではもらえない。と話している。

キャッシュレスを導入し、お客様の来店動機を増やすことが大事

今村)福岡だったらキャッシュレスで支払えるという環境をつくっていく。そして、高齢者も含め、市民や国内外の観光客に、キャッシュレスをもっと知ってもらう取り組みが大事である。

迎)今日は結婚記念日なので、キャッシュレスで花とケーキを買って奥さんにあげ、自分はキャッシュレスのポイントバックをもらう。キャッシュレスは便利。福岡市は人口増加している元気なまちである。キャッシュレスが盛んな市として、いろいろ便利になることを期待している。

馬場)世の中はキャッシュレス化で導入のハードルも低くなっている。経費はどうにかコントロールできるが、売り上げにつながるお客様の動向はコントロールできない。お客様のニーズに対応し、キャッシュレスという決済手段でお客様に選んでもらい、来店動機を増やすことが大事である。

野上)タクシーは、昔は現金が当たり前だったが、キャッシュレス化が進んでいる。先行して取り組むと先行メリットが得られる。導入に悩んでいるならやるべき。

今村)キャッシュレスに置き換えるのではなく、これまでの現金支払いに、キャッシュレス決済を追加するだけなので、マイナスではなくプラス。まずはやってみてはどうか。顧客獲得の新しいチャレンジとなる。福岡市はアジアのリーダー都市として今後ともキャッシュレスに取り組んでいく。